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フラッシュレポートFlash Reports

 Vol.7 No.009 サスティナブル時代のPET樹脂・製品−戦略と市場−    この書籍に移動 >>>

 

≪清涼飲料メーカーのボトルtoボトル≫


【2030年の目標達成にはB to Bの生産能力倍増が必要】
 全国清涼飲料連合会(全清飲)は18年にプラスチック資源循環宣言を発表し、2030年までにPETボトルの100%有効利用を目指すとした。 さらに21年には2030年までに水平リサイクル(ボトルtoボトル)の比率を50%にするという目標を設定したが、全清飲の宣言に対応して 清涼飲料各社は新たな環境目標を相次いで発表した。
 サントリーグループは2025年までに国内で使用する全PETボトルの半数以上に再生PET樹脂を使用し、2030年までにグローバルで使用する 全PETボトルを再生PET樹脂もしくは植物由来樹脂に切り替えて化石由来原料の使用をゼロにすると発表した。さらに、CO2排出量 の少ないリサイクル技術としてフレークtoプリフォームの製造ラインを増設するとした。コカ・コーラグループは2025年までに全てのPETボトル に再生樹脂(90%)もしくは植物由来樹脂(10%)を使用し、2030年までには全てのPETボトルをサスティナブル素材100%にして新規の化石資源使用 をゼロにするとしている。また、ボトル1本当たりのPET樹脂使用量を35%削減し、国内で販売した自社製品と同じ量のPETボトルを回収するとしている。 サントリーグループとコカ・コーラグループは2030年までに新たな化石資源によるPETボトルをゼロにして、再生樹脂もしくは植物由来樹脂にする ことが基本的方向である。
 アサヒ飲料も2030年までにPETボトルを100%環境配慮素材(再生樹脂、バイオマス樹脂)に切り替える目標を掲げており、さらにラベルレスボトルを 拡大してプラスチック容器包装の重量軽減を図るとしている。キリングループはPETボトルにおけるリサイクル樹脂の比率を2027年までに50%にし、 ワンウェイプラスチックを削減して他の素材に切り替えるとしている。伊藤園グループは2030年までにPETボトルにおけるリサイクル素材または 生物由来素材の割合を100%にする目標を掲げており、この目標に向けて2025年までに「お〜いお茶」ブランドの全PETボトルをサスティナブル素材 100%に切り替えるとしている。大塚グループは2030年までにPETボトルにおけるリサイクル原料と植物由来原料の使用割合をグローバルで100%にし、 2050年までには消費者商品の全製品を対象に化石資源由来原料の使用をゼロにするとしている。
 清涼飲料各社の基本的目標は、2030年までに全てのPETボトルの原料を再生樹脂もしくはバイオマス樹脂にして、化石資源由来のバージン樹脂を ゼロにするというものである。実質的にはバイオマス樹脂が少なくて、再生樹脂によるボトルtoボトルが殆どを占めるとみられる。ボトルtoボトルの 再生樹脂はメカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルによるものであるが、現在これらの生産能力は合わせて23.6万トン/年であり、 23年中には33.6万トン/年に拡大される。しかし、清涼飲料用PETボトルの需要量が最も多かったのは19年の66.7万トンであり、清涼飲料用PETボトルの 全てに再生樹脂を使用するためには、再生樹脂の生産能力を少なくとも70万トン/年にしなければならない。これは現在の2倍以上の規模であり、 今後はメカニカルリサイクル、ケミカルリサイクルへのさらなる投資が必要である。この設備投資が進まなければ清涼飲料各社の環境目標は達成できない であろう。台湾などからボトルtoボトル向けの再生樹脂を輸入して対応することも可能であるが、リサイクルは国内で発生した廃棄物を国内で再生利用する ことが基本であり、再生樹脂の輸入は国内循環に該当しない。

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