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 Vol.3 No.318 低誘電材料・製品の開発と市場展望           この書籍に移動 >>>

 

≪激しさを増す低誘電基板のポリマー開発≫


【基板用低誘電ポリマーの競合と市場展望】
  5G通信は高速・大容量、信号の低遅延、端末の同時多接続などの機能を飛躍的に向上させるもので、  基地局や各種端末には高周波対応のプリント配線板が必要となる。電気信号を劣化させることなく  高速に処理することが求められ、基板の低誘電損失化をめぐって様々な樹脂の開発、実用化が進め  られている。従来のプリント配線板はガラスエポキシ樹脂(FR−4)やPIベースの基板が中心であった  が、今後はPTFE、LCPなどが有望視されている。サブ6帯では誘電率や誘電正接を引き下げた変性PI  が一部のスマートフォンに使用されているが、17年からスマートフォンのアンテナや高速信号処理  部位にLCPが使用されるようになった。また、PTFEも高周波対応に優れた樹脂として評価されており、  信頼性が要求される機器に適用されている。しかし、LCP、PTFEにも課題があり、基板の製造には様々  な制約がある。LCPは熱可塑性樹脂であるため高温処理に不向きで、多層化などの積層や実装工程では  熱対策が必要で、熱対策が十分でないと不良が発生する。PTFEも表面が硬くて平滑であるため、特殊な  装置を使って表面処理を施さないと基板が製造できない。これらは一般の配線基板と異なってそれぞれ  独自の製造ノウハウが必要であり、原料も高価である。このためLCPやPTFEに代わる絶縁材料として  PI、PPE、COP、SPS、PPSなどの応用開発が進められている。
 また、企業間の競合も激しくなっている。LCPでは村田製作所が先行しているが、クラレがLCPフィルム の設備を増強し、銅張積層板の生産を開始するなど事業の拡大を図っている。さらにデンカ、共同技研化学、 千代田インテグレなどがフィルムや銅張積層板を製造しており、住友化学、上野製薬、ポリプラスチックス、 東レなどの樹脂メーカーも低誘電グレードの開発を進めている。PIも参入企業が増えており、東レ・デュポン、 カネカ、宇部興産、東洋紡(ゼノマックスジャパン)、ユニチカ、東京応化工業、昭和電工マテリアルズのほか、 日東電工が微多孔質PIフィルムによる市場参入を目指している。高周波通信の低誘電基板では村田製作所の LCP基板がリードしており、LCPやPI、変性PPEが使用されているのは主としてサブ6帯である。ミリ波帯に 実用されているのはPTFEのみとみられるが、ミリ波帯自体がまだ普及していないため、今後の開発次第では 樹脂の勢力図が大きく変わる可能性もある。ミリ波帯ではPFAやCOPなどの開発も進められており、他の耐熱 樹脂についても研究開発が活発で、当分は目の離せない状況が続くであろう。

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