本文へスキップ

株式会社大阪ケミカル・マーケティング・センターはマーケットリサーチを専門とする1962年設立の実績ある会社です。

TEL. 06-4305-6570

〒543-0001 大阪市天王寺区上本町6-7-21-502

フラッシュレポートFlash Reports

 Vol.3 No.309 フィルターの最新マーケット&開発動向    この書籍に移動 >>>

 

≪濾材の耐久性向上は繊維径のバランス≫


【ナノファイバーフィルターの耐久性向上】
 家庭用空気清浄機には極細ガラス繊維紙やエレクトレット不織布(メルトブロー)によるHEPAクラスのフィルターが 使用されており、フィルターには10年の耐久性が求められている。空気清浄機用フィルターの耐久性は、日本電機工業 会規格JEM1467で定められており、1日の粉塵負荷量をタバコ5本分とし、空気清浄機の集塵性能が初期の50%以下に なった時点がフィルターの耐久使用年数とされている。10年相当のタバコ負荷後において許容される圧力損失は160Paで あり、160Pa以下であれば空気清浄機本体に対する支障が小さく、十分な風量が確保できるとされている。
 タバコの煙にはカーボンのような粒子状物質(0.3〜0.5μm)のほかに、酸性ガス、アルカリ性ガス、油分なども含まれ ている。ナノファイバー濾材は比表面積が大きいため捕集容量が増加し、カーボン粉末などの粒子物質に対しては保持量 が増えて、耐久性が向上する。しかし、繊維が細いほど圧力損失の上昇が顕著になり、耐久性が低下していく。ナノファ イバーを使用した濾材は、繊維間の距離が短いため孔径が小さい。孔径の小さい濾材が粒子と油分を捕集すると、粒子と 油分が混合して繊維表面で膜を形成し、空隙を埋めていく。さらに、油分は毛細管現象によって拡大しやすいため、濾材 が早期に目詰まりして圧力損失が急激に上昇する。太い繊維は繊維間距離が大きいため、粒子や油分を捕集しても目詰ま りが生じにくく、圧力損失が低く保たれる。
 細い繊維は初期の捕集性能は高いが、タバコ負荷に対する耐久性に劣る。太い繊維は初期の捕集性能は低いが、タバコ 負荷に対する耐久性に優れる。初期の濾過性能とタバコ負荷の耐久性はトレードオフの関係にあり、これらを両立させる には繊維径のバランスが重要である。パナソニックエコシステムズはフィルターの耐久性を向上させる方法として、濾材 の上流側に粗大粒子と油分を捕集する太い繊維層を配置させ、下流側に微細粒子を捕集する細い繊維層を配置した2層構造 の濾材を提案した。さらに160Pa以下の圧力損失を保つ繊維径として250nmと850nmを見出し、太い繊維層の目付が細い繊維層 の4.5倍以上であれば、10年相当の耐久性が確保できるとした。開発された濾材の構造を下図に示す。ナノファイバー層 の破損を防ぐため上流側にメルトブロー不織布による保護層を設け、保護層と基材不織布でナノファイバー層を挟む構造に なっている。ナノファイバー層は2層構造で、太い繊維層(850nm)の目付を大きくし、これによってタバコ負荷に対する耐久 性が向上する。しかし、初期の捕集性能が低下するため、保護層にエレクトレット加工したメルトブロー不織布を用いて初期 の捕集性能が確保された。エレクトレット加工は静電気力で集塵するため圧力損失を低く保つことができるものの、帯電は 経年や汚染によって低下する。このためメルトブロー不織布は、あくまでも初期の捕集性能と耐久性を確保するための補助的 資材とされている。ナノファイバーの2層構造とメルトブロー不織布の組合わせによって、良好な濾過性能とタバコ負荷に対 する10年相当の耐久性が実現された。


バナースペース

株式会社大阪ケミカル・
   マーケティング・センター

〒543-0001
大阪市天王寺区上本町6-7-21-502

TEL 06-4305-6570(代表)
FAX 06-6774-6828